日本での部屋探しでは、「南向き」が日当たりが良く、明るい部屋として常に人気ですよね。しかし、一年中高温多湿な気候のバンコクでは、お部屋の「向き」が持つ意味合いは少し異なります。快適なバンコク生活を送る上で、お部屋の向きは電気代や居住空間の快適さに大きく影響します。今回は、バンコクで賃貸物件を探す際に知っておきたい、お部屋の向きに関するポイントを詳しく解説します。

タイ・バンコクで「向き」が重要な理由

バンコクでは、年間を通して気温が高い日が続きます。特に乾季後半から雨季にかけての暑い時期には、エアコンなしでは過ごせないと感じる日も多いでしょう。しかし、それ以外の時期や、お部屋の向き、そして風通しによっては、エアコンの使用頻度を大きく減らせる可能性があります。実際に、同じ建物内で同じような生活をしていても、お部屋の向きが違うだけで、電気代が倍近く変わるケースもあるほどです。

また、リビングルームと寝室が同じ方角を向いているとは限りません。それぞれの部屋がどの方向を向いているかによって、一日の過ごしやすさが大きく変わってきます。

ライフスタイルに合わせた「向き」の選び方

お部屋の向きは、住む方のライフスタイルや、どの部屋でどの時間帯を過ごすかによって、最適なものが変わってきます。

西向きの部屋

  • 寝室が西向きの場合: 日中に壁が太陽の熱を吸収し、「焼けて」しまいます。夜、就寝前にエアコンで部屋を冷やしても、タイマーが切れた途端、壁から放出される熱ですぐに暑くなり、寝苦しさで目が覚めてしまう、ということがよくあります。これは、エアコンの効きが悪くなるだけでなく、電気代の増加にもつながります。
  • キッチンが西向きの場合: 奥様がご帯同されているご家庭の場合、毎日の夕食の準備をする夕方に西日が差し込み、キッチンが非常に暑くなることがあります。料理をする時間が、より一層つらいものになってしまうかもしれません。

東向きの部屋

  • 寝室が東向きの場合: 朝日とともに部屋が明るくなるため、普段早起きの方には問題ありませんが、たまの休日や出張明けにゆっくり朝寝坊したいと思っても、日の出とともに目が覚めてしまうという話もよく聞きます。遮光カーテンなどで対策は可能ですが、自然な目覚めを重視する方には不向きかもしれません。

南向きの部屋

  • 日本では人気が高い南向きですが、バンコクでは注意が必要です。窓が大きく、ベランダやひさしがない場合、日中は非常に強い日差しが差し込みます。カーテンを閉めないと暑いだけでなく、家具や床、さらにはお肌まで日焼けしてしまう可能性があります。南向きの部屋を検討する際は、窓の構造や日よけの有無を確認しましょう。

バンコクで最も人気のある「向き」は?

それでは、一年を通して快適に過ごせるバンコクで一番人気の「向き」はどこなのでしょうか?

それはズバリ、北向きです!

バンコクは赤道近くに位置しているため、北向きの部屋でも十分な明るさが確保できます。そして、南向きほど強い日差しが差し込むことが少ないため、部屋が過度に暑くなりにくいというメリットがあります。さらに、物件が南北に風が通るような間取りになっている場合、特に比較的過ごしやすい乾季(11月〜2月頃)などには、一日中エアコンを使わなくても、自然の風で気持ちよく過ごせることもあります。これは電気代の節約にも大きく貢献するでしょう。

眺望と方角

部屋の向きは、日当たりや風通しだけでなく、眺望にも影響を与えます。

  • 西側: スクンビットエリアの場合、西側の高層階からは、バンコクの美しい夜景、特に都会的なシティービューが楽しめます。夕焼けが美しいのも西向きの特徴です。
  • 南側: 高層階であれば、チャオプラヤー川やサトーン橋など、広々としたリバービューを楽しむことができます。祭日には、ご自宅の窓から壮大な花火鑑賞ができることもあり、特別な体験ができます。また、チャオプラヤー川から吹く涼しい風が部屋に入りやすく、換気にも優れています。

最終的な部屋選びのヒント

お部屋の向きは、物件選びの重要な要素ですが、実際にその部屋に入ってみなければ分からないこともたくさんあります。例えば、隣の建物が近すぎて景色が見えなかったり、窓を開けることができなかったりするケースも考えられます。
そのため、物件見学の際には、複数の部屋を見学し、時間帯を変えて見に行ったり、できれば日中と夕方の両方で部屋の明るさや風通し、そして眺望を確認することをおすすめします。そうすることで、あなたのライフスタイルに最も合った、快適なバンコクでの住まいを見つけることができるでしょう。