バンコクで賃貸物件を探す際、「アパート」と「コンドミニアム」という言葉をよく耳にするでしょう。今回は、アパートに焦点を当て、その特徴や、借りる上でのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

アパートとは?

バンコクにおけるアパートとは、建物全体を一人のオーナーや一つの会社が所有し、運営している賃貸物件のことを指します。建物名にオーナーの名前が付いていることもあれば、複数の物件を所有するアパートブランドとして展開されているケースもあります。

アパートの最大の魅力:安心の管理体制

アパートの最も大きな特徴は、なんといっても手厚い管理とサービスの良さです。

  1. 家賃が高い
    ホテルタイプのサービスアパートは、その利便性と充実したサービスと引き換えに、家賃が割高になる傾向があります。立地の良さ、豪華な共用設備、そしてメイドサービスが付いていることを考えると当然のことです。アパートやコンドミニアムと比較すると、同じ広さでも家賃が1.5倍から2倍近くになることも珍しくありません。予算が限られている場合は、家賃に含まれるサービス内容(電気代の有無など)をしっかりと確認し、総合的なコストを比較検討する必要があります。
  2. 迅速な修理対応:
    ほとんどのアパートでは、建物内に専属のエンジニアを常駐させています。そのため、エアコンや水回りのトラブルが発生しても、迅速かつスムーズに修理をしてもらえます。
  3. 代替品の確保:
    各部屋のテレビ、洗濯機、冷蔵庫といった家電製品は、同じ規格のものを使用していることが多く、万が一故障した場合でも、空き部屋や倉庫から代替品をすぐに持ってきてもらえる体制が整っています。
  4. 温かみのあるサービス:
    長年その物件に勤めているマネージャーや、オーナー自身が管理を行っているケースも多く、入居者のことを気遣う、心のこもったサービスを受けられるのもアパートの大きな魅力です。

暮らしに合わせた柔軟な対応

アパートは、入居者の様々なニーズに応える柔軟な対応も特徴の一つです。

  • 法人契約のしやすさ:
    ほとんどのアパート物件は、法人契約に慣れており、手続きがスムーズです。会社が法人契約を条件としている駐在員の方にとっては、非常に重要なポイントとなります。
  • ペット飼育の可能性:
    コンドミニアムではペット飼育が禁止されていることが多い中、アパートには犬や猫などのペット飼育が可能な物件も多く存在します。愛するペットと一緒にバンコクでの生活を送りたい方には、大きな選択肢となるでしょう。
  • 退去時の安心感:
    退去時の原状回復費用についても、オーナーの判断によって基準が曖昧になりがちなコンドミニアムと比べ、アパートは明確な基準が設定されており、安心して退去手続きを進められます。

アパートの注意点:コストと環境

オールマイティーに見えるアパートですが、注意すべき点がいくつかあります。

  • 各種経費が割高:
    コンドミニアムと比較すると、水道料金や電気代といった各種経費が割高になる傾向があります。
    水道料金: タイでは水が豊富なため、本来非常に安価ですが、アパートでは使用量に関係なく固定料金となっていることがほとんどです。
    電気代: アパート独自のメーターで計算されるため、電力会社の正規料金よりも高めに設定されていることがあります。中には電力会社の2倍近いレートが適用される物件もあり、特に広い部屋や旧式のエアコンを使用している場合、電気代が大きな負担になる可能性があります。
    その他: インターネットやケーブルテレビ、飲料水の業者も指定されていることが多く、自由に業者を選べるコンドミニアムに比べると割高になる傾向があります。
  • 日本人コミュニティの凝縮:
    スクンビットの人気エリアにあるアパートは、日本人駐在員のために建てられたものが多いため、住民が100%日本人ということも珍しくありません。特に大型物件では、日本人学校の送迎バスが複数便運行され、バス当番やエレベーターの混雑など、日本よりも濃密な日本人社会に戸惑う方もいるかもしれません。
  • 豪華さよりも機能性:
    アパートは、特定の家賃帯で安定して貸し出すことを目的にしているため、ごく一部の高級アパートを除いて、ロビーやお部屋の内装、家具は豪華さよりも機能性や実用性を重視した作りになっています。コンドミニアムのような洗練されたデザインや豪華さを求める方には、少し物足りなく感じるかもしれません。

アパートは、特に安心感と手厚いサービスを求める方、法人契約を条件とする方、ペットを飼育したい方におすすめの選択肢です。それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフスタイルに合った物件選びを進めていきましょう。