タイは現在、雨季に入り、洗濯物が乾きにくい季節が続いています。そんな時、洗濯機が故障してしまうと、日々の家事に大きな支障をきたし、非常に困りますよね。

日本では家電の中でも洗濯機は壊れにくく、5年、10年と使えるのが当たり前という感覚がありますが、高温多湿なタイでは、1年未満でも故障したり、使用できなくなるトラブルが頻繁に起こります。しかも、その原因は予想外のところにあり、故障箇所も保証の対象外となる部分が多いのが実情です。

今回は、タイでよくある洗濯機の故障原因とその対策、修理の進め方について詳しく解説し、トラブルを未然に防ぐ方法をご紹介します。

1. ドラム式洗濯機(前蓋式)の最大の敵は「泡立ち過ぎ」

タイの賃貸物件で人気が高まっているのが、前蓋式、いわゆるドラム式洗濯機です。このタイプはもともとヨーロッパで開発され、水資源が貴重な地域向けに、ごく少量の水でも効率よく洗えるように設計されています。

しかし、この構造がタイでのトラブルの原因となります。

  • 原因は洗剤の泡:
    ドラム式専用ではない洗剤を使用すると、泡が立ち過ぎてしまい、蓋の横から溢れ出てきたり、逆流してデリケートなセンサー部分に入り込み<、故障の原因となります。センサーが故障すると、水漏れや途中で停止するなどのエラーが発生します。
  • 対策:
    スーパーの洗剤売り場を注意深く見ると、パッケージに「手洗い専用」「手洗いと縦型(上蓋式)兼用」「前蓋式(ドラム式)用」といった絵が描かれていることが分かります。タイ語が読めなくても絵で判断できますので、必ずドラム式専用の洗剤(粉状でも液体でも可)を使いましょう。
  • 日本からの洗剤を使う場合:
    日本から持ってきたお気に入りの洗剤や、間違って汎用洗剤を買ってしまった場合は、通常の半量以下で使用することをおすすめします。泡立ちを抑えることが、故障を防ぐ鍵となります。

タイの洗剤

2. 縦型洗濯機(上蓋式)のトラブルは「設置不良」が原因

日本で一般的な上蓋式の洗濯機の場合、故障の原因は設置方法にあることがほとんどです。

  • 排水の問題:
    近年の築浅コンドミニアムは、土地の値上がりにより小さな部屋を多く作る傾向があります。大量の排水が一度に出る縦型洗濯機は、本来推奨されないケースがあります。特に、無理に縦型を取り付けた場合、排水ホースの位置が排水管よりも高くなってしまい、水がきちんと排出されずに脱水機能が使えなくなったり、排水が逆流したりするトラブルが起こります。
  • 蓋の破損:
    縦型・ドラム式を問わず多いのが、意外にも蓋の割れです。お子様が上に乗って遊んだり、強風で物干し竿などが倒れた際に破損することがあります。洗濯機は安全上の理由から、蓋が割れると脱水ができない、または途中で停止するように設計されているため、結果的に使用不能になってしまいます。

3. トラブル発生時の修理依頼と注意点

洗濯機が壊れた場合、スムーズな修理のために以下の手順で対応しましょう。

  • 物件のエンジニアに連絡:
    まずは建物の管理事務所(アパート、コンドミニアム)に連絡し、常駐しているエンジニアに見てもらいましょう。多くの場合、軽度の問題はその場で解決します。
  • メーカー修理の手配:
    エンジニアの手に負えない場合は、オーナー経由でメーカーのエンジニアを手配してもらうことになります。
  • 立ち会い時間の確保:
    タイではエアコンと同様に、家電の修理エンジニアも人手不足です。エンジニアが「最速で来られる」と言った日時に、できるだけご自身の都合を合わせることが、早期解決への最短ルートです。
  • 部品交換にかかる日数:
    洗濯機は持ち帰らずにその場で修理できることがほとんどですが、部品交換が必要な場合、部品の手配と下見のため、後日の修理と合わせて最低でも3日以上はかかることを覚悟しておきましょう。

4. 故障を防ぎ、洗濯機を長持ちさせるための予防策

故障とは直接関係ありませんが、洗濯機を良い状態で長くお使いいただくために、以下の点に注意しましょう。

  • 定期的な槽洗浄:
    タイの水質はカルシウム分(硬度)が多く、石鹸カスなどが洗濯槽の内側に溜まりやすいのが特徴です。これを放置すると、カビが発生し、せっかく洗った洗濯物が逆に汚れてしまうことになりかねません。
  • 対策:
    月に一度は、洗濯機専用の洗剤(クリーナー)を使って洗濯槽の洗浄を行いましょう。ご家族で毎日2回ずつお使いになるようなご家庭では、頻度を上げる必要があります。
  • 契約更新時のリクエスト:
    賃貸契約の更新時には、不動産仲介業者を通じて、専門業者による洗濯機内部のクリーニングをオーナーにリクエストしてみるのも一つの手です。入居者の快適な生活と、オーナーの資産保全の両方にとってメリットがあるため、交渉に応じてくれる可能性もあります。

快適なタイ生活を送るために、日頃から洗濯機の状態に気を配り、正しい方法で使用・メンテナンスしていきましょう。