今回は、タイでの生活において避けては通れない「虫対策」、特に目に見えにくい厄介者「ダニ」への対策について深掘りしてみたいと思います。
タイのダニ事情:年中無休の活動期
寒い環境では生きられないダニですが、常夏かつ湿度の高いタイにおいては、1年365日が活動期と言っても過言ではありません。特に雨季(6月〜10月頃)に入ると湿度が上昇し、ダニの繁殖活動はさらに活発化します。
日本人が多く住むスクンビットエリアなどのアパートやコンドミニアムでは、建物の管理として定期的に害虫駆除(ペストコントロール)が行われているため、室内でネズミやゴキブリに遭遇する頻度は、築年数の古い物件を除けば比較的稀です。
しかし、ダニに関しては事情が異なります。体長0.1ミリ前後と非常に小さく肉眼で見えないため、「いない」と思われがちですが、実はどんなに綺麗な部屋であっても、繊維製品がある限り住み着いている可能性があります。 ソファーに座った時やベッドに入った時に「なんとなく肌がムズムズする」、あるいは「服で隠れている場所なのに虫刺されのような赤い腫れがある」といった場合、その原因のほとんどはダニであると考えてよいでしょう。
ダニの種類と被害
ダニには非常に多くの種類がありますが、住環境で問題になるのは大きく分けて「人を刺すダニ(ツメダニなど)」と「刺さないダニ(チリダニなど)」の2種類です。
- 人を刺すダニ:物理的な痒みや痛みを引き起こします。
- 刺さないダニ:直接的な被害はありませんが、その死骸や糞が空気中に舞い上がり、アレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎の原因となります。また、これらのダニは「人を刺すダニ」の餌となるため、放置すると刺すダニを増殖させる悪循環に繋がります。
つまり、どちらの種類であっても徹底的な駆除と予防が必要です。
実践!タイでの効果的なダニ駆除方法

高温多湿のバンコクでは、臭い対策は湿気対策とイコールです。
- 専門業者 vs 自力での対策:
専門の駆除業者(Pest Control service)を呼んで徹底的に駆除してもらうことも可能ですが、費用がかさむ上に、ダニは日常の生活で少しずつ増えていくため、一度の駆除だけでは不十分です。 それよりも、日常的なケアと年に数回の大掃除を自分自身で行う方が、コストを抑えつつ被害を未然に防げるためおすすめです。 - ベッド・ソファーへの「ダブル使い」対策:
日本では布団専用の掃除機(レイコップ等)が普及していますが、タイの電圧に対応したものを持ち込んでいる家庭は少ないかもしれません。そこでおすすめなのが、「掃除機」と「スチームアイロン」の合わせ技です。
・ステップ1:掃除機がけ 掃除機のヘッドをゆっくりと動かします。ダニは繊維の奥にしがみついているため、素早く動かすと吸い取れません。「1平方メートルあたり20秒」を目安に、縦・横・斜めと方向を変えながら丁寧に吸い取ります。
・ステップ2:スチームアイロン ダニは熱に弱く、60度以上の熱で死滅すると言われています。スチームアイロンを「強」に設定し、蒸気をベッドマットレスやソファーにゆっくりと当てていきます。
※ソファーの素材(革やデリケートな布地)によっては変色や傷みの原因になるため、必ず目立たない場所で試すか、あて布をして行ってください。 - 衣類・収納の対策:
・収納への工夫 タンスやクローゼットの引き出しには、ダニよけシートを敷くのが有効です。タイのスーパーやドンキホーテ、ツルハドラッグ等でも、日本製や現地のダニよけ製品(Mite Repellent Sheet)が入手しやすくなっています。
・アイロンがけの習慣 洗濯物は乾燥機(60度以上)に40分以上かけるのが理想的ですが、タイの一般家庭では乾燥機がない場合も多いですし、衣類の傷みも気になります。 ここでも有効なのがアイロンです。タイでメイドさんを雇うと、Yシャツだけでなく、Tシャツ、ジーンズ、さらには下着やパジャマまでアイロンをかけてくれることに驚く方が多いですが、これは非常に理にかなっています。見栄えだけでなく、殺菌・殺虫効果があり、高湿度のタイでカビやダニを防ぐための生活の知恵と言えます。 - 空気清浄機の活用(PM2.5対策との相乗効果):
お部屋全体のダニ対策として、空気清浄機の設置を強くお勧めします。 近年、タイでは乾季(12月〜3月頃)を中心にPM2.5(微小粒子状物質)による大気汚染が深刻化しており、2025年に向けてタイ政府も対策強化を発表しています。
空気清浄機は、外から入るPM2.5を除去するだけでなく、室内で舞い上がる「ダニの死骸」や「フン」などのハウスダストを吸着するのに非常に効果的です。
・選び方のポイント HEPAフィルター搭載のモデルを選びましょう。寝室用であれば、シャープやダイキンなどの日本メーカー製はもちろん、Xiaomiなどのコスパの良いモデルも現地で人気があり、メンテナンスも簡単です。
タイでの生活を快適に送るためには、人間にとって快適な温度・湿度が、虫にとっても快適であることを理解し、「持ち込ませない・増やさない・除去する」の3ステップを日常に取り入れることが大切です。 特にダニは見えない敵ですが、週に一度の丁寧な掃除機がけとアイロン、そして空気清浄機の稼働で劇的に減らすことができます。
その他の虫対策については、以下の記事もぜひご参照ください。










