前2回で、タイの不動産購入の流れと物件選びのポイントを見てきました。今回は、実際にお金を用意して支払う手順と、登記手続きについて解説します。
外国人による購入の基本ルール:一括購入と海外送金
タイで外国人がコンドミニアムを購入する場合、原則として「現金での一括購入」となります。
外国人を対象とした住宅ローンを取り扱う金融機関も一部存在しますが、以下のようなハードルがあります。
- 審査基準が非常に厳しい(タイ国内での就労許可や高額な所得証明が必要など)
- 金利が高めに設定される傾向がある
- 手続きが複雑で時間がかかる
そのため、一般的な実務においては現金一括での購入が基本となります。
海外送金(外貨送金)の必須要件
外国人がタイでコンドミニアムの所有権を登記するためには、「購入資金がタイ国外から外貨で持ち込まれたこと」を証明する必要があります。
タイ国内の口座にあるタイバーツで支払うことは認められず、日本などの国外銀行口座から外貨(日本円や米ドルなど)で送金し、タイの受取銀行でタイバーツに両替される形をとらなければなりません。
予約から支払い、登記までの詳細な流れ
新築完成物件および中古物件を購入する際の標準的な手順は以下のとおりです。(建設前のプレビルド物件の場合は、支払いが分割になるなど一部工程が異なります)
ステップ1:予約と予約金の支払い
購入したい物件が決まったら、予約手続きを行います。
- 支払い方法: タイの銀行窓口からの振込、または日本からの海外送金(クレジットカード決済が可能な場合もあります)。
- 期日: 申込から1週間以内が目安です。
- 金額の相場: 10万バーツ~15万バーツ程度。
- 注意点: 物件やデベロッパー(開発会社)によっては、予約金に加えて物件価格の10%~20%程度を「手付金(頭金)」として契約時に支払う必要があります。
ステップ2:売買契約とタイの銀行口座開設
売買契約とタイの銀行口座開設
- 契約書の内容を確認して署名を行います。
- 売買契約書やパスポートを持参し、タイの商業銀行でご自身名義の銀行口座を開設します。
ステップ3:残金の一括送金と外貨送金証明書の発行
契約後、期日(通常は1か月以内)までに残金をタイの銀行口座へ送金します。
- 海外送金: 日本の銀行口座から、開設したタイの銀行口座へ一括で送金します。送金目的欄には「コンドミニアム購入資金(Purchase of Condominium)」と明記します。
- 外貨送金証明書(FET / Foreign Exchange Transaction Form)の取得: タイの銀行に着金後、外国為替取引証明書(5万米ドル相当額以上の送金時に発行される証明書)の発行を銀行に依頼します。この書類が登記時に必須となります。
- 支払い小切手の準備: 決済日に売主へ手渡すため、購入残金分の銀行小切手(キャッシャーズチェック)を用意します。
ステップ4:土地局での決済および登記手続き
資金の準備が整ったら、管轄の土地局(Land Office)にて手続きを行います。
- 新築物件: デベロッパー側が手続きを代行するケースが多く、手続き完了後、1~2週間程度で権利証書(チャノート)が手元に届きます。
- 中古物件: 買主と売主(前オーナー)、またはそれぞれの代理人が土地局へ出向きます。書類の確認と同時に小切手を手渡し、その場で名義変更登記を完了させて権利証書を受け取ります。
ステップ5:管理事務所での各種手続きと引き渡し
登記完了後、コンドミニアムの管理事務所(Juridistic Office)にて以下の手続きを行います。
- 初年度の共益費(管理費)の精算・支払い
- 修繕積立金(Sinking Fund / 主に新築時)の支払い
- 電気・水道メーターの名義変更および保証金の預託
- 部屋の鍵、アクセスカードの受け取り
購入時に必要な諸費用・内訳の確認
物件本体価格のほかに、諸費用が発生します。為替レートの変動も考慮し、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
| 費用項目 | 内容と目安 |
|---|---|
| 登記費用(移転登記手数料) | 土地局の評価額の2%。売主と買主で各1%ずつ折半するのが一般的ですが、契約条件によって異なります。 |
| 修繕積立金(Sinking Fund) | 新築購入時に一括で支払う基金です(平米あたり数百バーツ程度。中古の場合は通常不要)。 |
| 物件管理費(年間共益費) | 建物の維持・管理にかかる費用です。平米あたりの単価×専有面積で算出され、1年分を前払いします。 |
| 海外送金手数料 | 日本側の送金手数料、中継銀行手数料、タイ側銀行での受取手数料などがかかります。 |
| 小切手発行手数料 | 決済時に売主へ支払う銀行小切手(キャッシャーズチェック)の発行手数料(1枚あたり数十バーツ)。 |
| メーター保証金・名義変更料 | 電気・水道メーターの設置保証金や名義変更に伴う手数料です。 |
| 各種保険(火災保険など) | 物件やオーナーのご希望に応じて任意で加入します。 |
| 仲介手数料 | タイの不動産取引では、基本的に売主側が仲介手数料を負担するため、買主側は無料となるケースが一般的です。 |
※為替レート(円/タイバーツ)の動向によって、日本円換算の必要総額が大きく変動するため、送金のタイミングにも留意が必要です。
TKMでは、物件のご紹介・ご案内はもちろんのこと、日本からの海外送金実務、土地局での登記手続きまで一貫してサポートしております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。










