近年、日本ではペットが大切な家族の一員として迎えられ、その結果、タイへの赴任や移住の際にペット(ワンちゃん、ネコちゃんなど)を帯同される方が非常に増えています。今回は、煩雑な検疫手続きや搬送方法(これらは航空会社などにご確認ください)の後、いよいよ始まるバンコクでの生活の基盤となる「ペット可の部屋探し」について、最新の状況を含めて詳しくご説明します。
最大の難関:バンコク市内のペット可物件は極めて限定的
まず、バンコクの外国人向け賃貸物件のほとんどは集合住宅(アパートメント、コンドミニアム)です。まれにタウンハウスや一軒家もありますが、セキュリティや管理が非常に難しく、トラブルを避けるためにはかなりの上級者向けと言えます。
そして、残念ながら、バンコク市内の集合住宅においてペットを飼育できる物件は、地域を問わず非常に限られています。
1. コンドミニアムのペット可の現状とリスク
コンドミニアムでは、建物全体の管理規約によってペット飼育が原則禁止されているところが大半です。
- 最新の傾向:
以前に比べると、新しい、特に高層・高級路線のコンドミニアムの中には、「ペットフレンドリー」を謳い、飼育を許可する物件がわずかに増加しています。しかし、そのルールは極めて厳格です(例:小型犬のみ、体重制限あり、指定されたサービスエレベーターの使用必須、共用部では抱きかかえることなど)。 - 絶対的な注意点:
お部屋のオーナーさんが個人的に「OK」を出しても、建物の管理組合(Juridical Person)の規約で禁止されていれば、飼育は不可能です。また、仮に入居時に許可されていても、住民間のトラブルや管理組合の話し合いにより、入居途中で規約が変更され、事実上禁止になるリスクもゼロではありません。 - 退去時の費用:
コンドミニアムのオーナーが個人の場合、退去時の原状回復に関する明確な基準がないため、「運が良ければ費用を支払わずに済む」こともあれば、「ペットによる損害として高額な補修費用を請求される」こともあります。敷金(デポジット)が通常より高めに設定されるのが一般的です。
2. アパート(ワンオーナー物件)が中心的な選択肢
ご家族向けの2BR、3BRといった比較的広いアパート(一棟全てを一つのオーナーが所有・管理する物件)は、ペットフレンドリーな物件を見つけられる主要な選択肢となります。
- 管理と費用の安心感:
アパートの場合、床、壁紙、家具などに対するそれぞれの補償額が比較的明確に決まっていることが多く、コンドミニアムに比べると退去時の基準がはっきりしており、安心感があります。 - ペット対策は必須:
とはいえ、壁や床におしっこがかかってしまったり、ソファーの生地が傷んでしまったりした場合は、高額な補修費用が発生する可能性があります。入居される際は、床にマットやビニールシートを敷いたり、ソファーにカバーをかけたりするなど、事前に傷や汚れを防ぐ工夫を強くお勧めします。
物件探しの実務とエリア情報
- 情報は常に流動的:
建築当初は「小型犬OK」だった物件でも、満室状態が続いたり、過去に住民間でトラブルがあったりすると、新規の入居者に対してはペット飼育を事実上禁止にするケースが多く見られます。ホームページ等の情報が更新されていない場合もありますので、最新の情報は必ず仲介業者に確認しましょう。 - ペットの種類と大きさ:
信頼できる仲介業者に、ペットの種類、大きさ(体高)、体重などを前もって具体的に伝えることが、物件探しの第一歩です。熱帯魚やカメ、ハムスターなどはほとんど問題なく飼えますが、ウサギ、猫、小型犬、大型犬となるにつれて、難易度は格段に上がります。特に大型犬OKの物件は、非常に貴重です。
ペット可物件が多いエリア(スクンビット中心)
- 中心エリア:
ソイ23、ソイ24(特に大型犬OKの物件も含む) - 住宅エリア:
ソイ26、ソイ31、ソイ39(特に人気)、ソイ49、ソイ53、ソイ55(トンロー)、ソイ59。 - アソーク以西:
ソイ6、ソイ8、ソイ11、ソイ12などにも点在します。 - その他:
シーロムやサトーン、ナラティワート通り沿いにもペット可物件はありますが、数は非常に少なくなります。
バンコクのペット可賃貸物件をお探しの方はこちらからご覧いただけます。
ペットと暮らすための生活インフラ
ペット可物件を探す際は、生活環境も考慮することが大切です。
- 動物病院:
バンコク市内には動物病院が意外と多く、ソイ24、ソイ26、ソイ49、トンローなどに点在しています。特にトンローソイ9にあるトンローペット病院(本院はラマ9)は、日本人通訳が常駐していることが多く、言葉の面でも安心です。 - ペット同伴可能施設:
近年、バンコクではペットと一緒に過ごせるライフスタイルモールやカフェが爆発的に増加しています。ソイ47のレインヒル、ソイ26のK Village、トンローのJアベニュー、エカマイのパークレーンなどは、敷地内の散歩や、テラス席での飲食が可能です。トンローのThe Commonsは、リードを付けていればペット同伴を許可しています。
散歩環境の確認
お散歩が必要なワンちゃんの場合、物件周辺の環境は極めて重要です。
- 野良犬の有無:
野良犬が多いエリアは避けるべきです。 - 歩道の状態:
バンコクは歩道の整備状況が悪い場所が多いので、安全に散歩ができる歩道が確保されているか。 - 緑地や公園:
近くにペットと散歩できる公園や緑地があるか。
物件選びの際には、これらの病院やショッピングセンターへのアクセス、そして散歩環境に関する細かい情報も、ご案内担当者に忘れずにご確認ください。信頼できる仲介業者と二人三脚で、愛するペットと共に快適に暮らせる理想の住まいを見つけてください。










