毎年、3月は日本に本帰国される方が1年で一番多い季節です。
バンコクの賃貸物件において、退去時のトラブルや高額な原状回復費用の請求を避けることは、スムーズな引越しや本帰国のための最重要事項です。

特に近年、バンコクでは新築・築浅物件の増加に伴い、オーナー側のチェックが厳格化し、修繕費用が高騰する傾向にあります。
タイの不動産商習慣は日本とは大きく異なります。「経年劣化」や「減価償却」という概念がオーナーに浸透していないケースが多く、入居時とほぼ同じ状態での返却を求められることが少なくありません。退去の数ヶ月前から準備を始めることで、損をしないための具体的な対策と情報をまとめました。

1. 備品管理:小さな欠品が大きな出費に

退去時のトラブルで最も多いのが、入居時にあった備品の紛失です。

  • 鍵・カードキーの全数確認: 玄関だけでなく、各寝室、バスルーム、ベランダ、メールボックス、金庫の鍵をすべて揃えてください。特に最近のコンドミニアムはセキュリティが厳しく、カードキーやスマートキーを紛失すると、システム全体の再設定費用として数千バーツ以上請求されることがあります。
  • 電球の交換: 切れたままの電球は、オーナー側が業者に依頼して交換するため、実費の数倍の作業費を請求されることがあります。スーパー(Big CやLotus’sなど)で同じタイプの電球を購入し、あらかじめ交換しておきましょう。
  • リモコン・マニュアル類: エアコン、テレビ、洗濯機などのリモコンや説明書は、入居時のリストと照らし合わせて一箇所にまとめておきましょう。

2. 清掃対策:プロの視点でチェックされる箇所

「通常の使用による汚れ」と主張しても、オーナーが「清掃業者が必要」と判断すれば、3,000〜6,000バーツ程度がデポジットから差し引かれてしまいます。

  • 水回りの水垢: 普段使っていないゲスト用バスルームは要注意です。水垢が固着していると「特別なクリーニングが必要」とみなされます。市販の洗剤で数回に分けて掃除し、輝きを取り戻しておきましょう。
  • キッチン家電の内部: 電子レンジや冷蔵庫の中の油汚れ・臭いは厳しくチェックされます。特に冷蔵庫は電源を落とした後の「カビ」が発生しやすいため、引越し直前まで清掃と乾燥を徹底してください。
  • タバコの臭いとヤニ: 室内で喫煙していた場合、壁紙の張り替えや家具の消臭費用として高額請求の対象となります。窓を開けての換気はもちろん、家具用洗剤で壁や棚を拭き取っておくことが必須です。

3. その他のポイント

現在のバンコクの状況に合わせた、引越し時の重要ポイントです。

  • 不用品の処分(リサイクルショップの活用): 以前は「捨てる」一択だった不用品も、現在は日系のリサイクルショップ(トレジャーファクトリー、エコリング、TOKYO JOEなど)の出張買取が非常に充実しています。特に家具や家電、ブランド品は、処分費用を払うどころか、現金化して引越し費用に充てることが可能です。
  • 退去通知(解約予告)の徹底: 多くの物件で「退去の30〜60日前」までに書面(またはEメールやLINE)での通知が必要です。1日でも遅れると、デポジットが1ヶ月分没収されるという厳しい契約も増えています。必ず契約書を再確認し、証拠が残る形で通知を行いましょう。
  • デポジット返還のスピード感: コンドミニアムの場合、公共料金の精算(最終月の電気代など)を待つ必要があるため、デポジットの返還には退去後45〜60日かかるのが一般的です。日本へ帰国される方は、タイの銀行口座をすぐに閉じず、返金を確認してから解約するか、信頼できる不動産仲介業者に代理受領を依頼しましょう。

4. プロの力を借りる:メイドサービスの活用

自力での清掃には限界があります。特に引越し準備で忙しい時期に、徹底的な掃除を行うのは体力的にも困難です。
バンコクには、退去時専用の「ディープクリーニング(大掃除)」を提供するサービスがあります。数千バーツの出費で、数万バーツのデポジット減額を防げるのであれば、非常に有効な投資です。
ゆとりを持って計画を立て、家族で協力しあったり、場合によっては臨時のメイドを雇って、防げる出費は防ぎ、気持よく帰国したいものですね。

TKMハウジングでは優良メイドのご紹介も行っています。詳しくはTKMハウジングのメイドサービスをご覧ください。

タイでの引越しは「オーナーとの交渉」の側面が強いのが現実です。入居時に撮影した写真があれば、それを見せながら「最初からあった傷」であることを主張する準備もしておきましょう。