タイ・バンコクでの新生活において、日本と大きく異なる点の一つが「鍵の仕組みと管理」です。近年のバンコクの新築物件では、物理的な鍵から高機能なデジタルロックやスマートフォン連動型への移行が急速に進んでいます。

「鍵をなくした」「オートロックで締め出された」といったトラブルは、海外生活において大きなストレスとなります。今回は鍵の管理術と、紛失時の対策について詳しく解説します。

1. キーカードの管理(駐車場・エレベーター)

最近のコンドミニアムでは、セキュリティ強化のため「キーカード」が生活の要となっています。

駐車場のアクセスカード(ゲートパス)

多くのコンドミニアムでは、1ユニットにつき1枚の駐車場用カード(またはRFIDタグ)の発行が基本です。これは、限られた駐車スペースに複数の車が停められるのを防ぐためです。

  • 運転手への預け方: 自家用車を運転手に任せている場合、カードを預ける必要がありますが、紛失時のリスクは借主(居住者)が負うことになります。紛失した場合、オーナーが警察へ紛失届を提出し、管理事務所で再発行の手続きを行う必要があり、時間も費用(約500〜1,500バーツ〜)もかかります。
  • 最新動向: 最近ではナンバープレート読取システム(LPR)を導入する物件も増えていますが、依然としてバックアップとしてカードが必要なケースが多いため、運転手交代時の回収は徹底しましょう。

エレベーターの階数制御カード

特定の階にしか止まらない「階数制限付きエレベーター」が一般的です。

  • 追加発行の制限: セキュリティの観点から、発行枚数に制限を設けている物件がほとんどです。メイドさんや来客用に追加が必要な場合は、管理事務所で申請が必要ですが、近年は1枚500〜1,000バーツ程度のデポジットや発行手数料がかかるのが一般的です。
  • スマート化: 最新の高級物件では、スマートフォンアプリで「ゲスト用QRコード」を発行し、それをかざすことでエレベーターを作動させるシステムも普及しています。

2. 玄関の鍵:デジタルロック時代の注意点

現在、バンコクの新築コンドミニアムの多くが「デジタルドアロック」を採用しています。

デジタルロック(電子錠)の盲点
暗証番号、キーカード、指紋認証などで開錠できる便利なデジタルロックですが、特有のトラブルも増えています。

  • 電池切れトラブル: 最も多いのが「電池切れで開かない」というケースです。多くの機種は外側から9V角型乾電池を接触させて一時的に通電させることが可能ですが、万が一に備え、電池交換のアラート(音が鳴るなど)が出たらすぐに交換しましょう。
  • マスターキーの保管: デジタルロックには緊急用の物理キーが付属していることが多いです。これを「室内」に置いておくと、電子回路が故障した際に詰んでしまいます。
    1本は信頼できる友人や会社、または管理事務所に預けておくのが賢明です。

物理キーの紛失リスク
特殊な形状のディンプルキーやマグネットタイプの場合、タイの街中の鍵屋ではコピーが作れません。

  • 交換費用: 鍵を紛失し、セキュリティ上シリンダーごと交換する場合、最新のデジタルロックであれば8,000〜15,000バーツ程度の高額な実費請求となるケースが増えています。

3. 紛失を防ぐ・備えるための保管テクニック

管理事務所への「スペア預け」
コンドミニアムの場合、オーナーから預かったスペアキーを封筒に入れ、封印(サインやテープ)をした状態で管理事務所に預けておくことをお勧めします。

  • メリット: インロック(締め出し)の際、深夜でもガードマンや管理スタッフの立ち会いのもとで開錠できる可能性があります。
  • アパートの場合: ワンオーナーのアパート(Apartment)は、管理事務所が必ずマスターキーを持っています。トラブル時はすぐにスタッフを呼べるのがアパートの大きな利点です
  • ホテルタイプのサービスアパートの場合: インロックしてしまっても、24時間フロントに申し出れば臨時のキーカードなどを発行してもらえますが、その場合、臨時のカードを返すだけで良い場合と、元の鍵のデータを書き換える必要が発生する場合がありますので、フロントに確認してください。

室内での保管場所
普段使わないメイド部屋の鍵や、窓・ベランダの鍵などは、一箇所にまとめて保管しましょう。

  • おすすめ: 電化製品のマニュアルや契約書のファイルと一緒に、内容を明記した封筒に入れて「クローゼットの棚」など定位置を決めておきます。退去時に「あの鍵がない!」と慌てるケースの多くは、引越しの荷物に紛れ込ませてしまうことです。

4. メイドさん・外部スタッフへの鍵の受け渡し

メイドさんを雇う場合、鍵の管理は慎重に行う必要があります。

  • メイド専用入口の活用: サービスドア(通用口)がある物件では、メインの玄関ではなく通用口の鍵のみを渡すようにしましょう。
  • 辞職時の対応 メイドさんが辞める際は、必ずその場で鍵を回収してください。もし返却されない場合は、防犯のために直ちにシリンダー交換(またはデジタルロックの暗証番号変更・カード登録解除)を行う必要があります。その際の費用負担についても、雇用契約時に明確にしておくとスムーズです。

5. 金庫(セーフティボックス)の罠

お部屋に備え付けの金庫がある場合、デジタル式のものがほとんどです。

  • 緊急用キーの管理: 暗証番号を忘れたり、電池が切れたりした時のために「物理キー」が付いています。このキーを金庫の中に入れてしまうトラブルが後を絶ちません。
    この鍵こそ、前述の「管理事務所預け」や「職場のデスク」など、室内以外で保管すべき重要アイテムです。

バンコクでの生活を快適に過ごすために、鍵の管理は「もしも」を想定して万全を期しておきましょう。

こちらの関連記事もご覧ください。
バンコクの賃貸物件で知っておきたい「鍵の種類と使い方」
バンコクの賃貸物件で知っておきたい「鍵の種類と使い方-2」
バンコクの賃貸物件で知っておきたい「鍵にまつわる様々なトラブル」